皆さん、フェドカップをご存知ですか。
男子のデ杯、女子のフェドカップは、ナショナルチーム国別対抗戦です。
毎年100数カ国が参戦し、国の誇りをかけ戦います。是非、応援して下さい。詳しくは、J.T.Aホームページで。

1997〜2004(01〜02を除く)6年間監督をつとめ、世界をかけ巡りましたが、神経がすりへり頭髪が白くなりました。テニスで唯一、試合中にベンチコーチが出来る試合です。
通常、試合中は選手へのコーチングはダメで、客席から一喜一憂し観戦しますが、”フェド、デ杯”だけは、監督も戦場の最前線ベンチで、状況判断し現場指揮に当ります。

拮抗する戦いの流れを読み、一瞬のスキをツキ、悪魔の如く繊細にツケ込み、天使の如く大胆に選手を舞わせる!!こんなうまい事いけば楽しいデートですが、私の経験ではありえない。

アドバイスの時と内容が選手と食い違うと、デートは一瞬でパー。超危険で果てしなく長いデートです。1997 対フランス戦がデビュー、長い長い長い2日間のデビュー。

初日、2つのシングルスの激戦を落とし(内一つは、マッチポイントが有りました日本に)日本対フランス 0−2、翌2日目は、第一試合3時間50分を日本 杉山がピアスに勝ち、続く第二試合 沢松vsトージア、4時間7分をトージアに持っていかれ日本敗退(沢松に2本のマッチポイント有り)この戦いに勝ったフランスは、その年のフェドカップで優勝 世界No1。

負けた日本に残った記録は、フェドカップ史上最長時間(今も)だけ。
3試合にマッチポイントを握り、一つしか勝てなかった日本、しかもホームで、おまけに相手はその年の世界No1の歴史を刻む。”敗戦の兵 将を語らず”のデートでした。

監督のベンチワーク一つで選手が舞い時には歌わず、言葉で表現出来ない負と正の資産というエネルギーを過酷な戦場から、選手から、スタッフから頂きました。”試合に勝って、勝負に負ける”この一敗が莫大な負の資産が、今もエネルギーとなり、コーチの職を続けさせてくれています。

さて、この試合である選手が、長い長い長い試合の最中、チェンジエンドのベンチで、悲痛な思いで叫びました。”監督、もうダメ、もうきつい、集中力が切れそう!! 作戦、作戦は?!”でした。

延々と続くサーブキープ状態、両国監督共、ある集中ゾーンに入った選手に手が出せない状況でした。相手監督は、元フレンチチャンピオン ヤニック・ノア、前年のデ杯No1監督、経験豊富な彼すら手が出せなかった。

その時の悲痛な一言、選手にどう答えるべきか、時間はたったの90秒、私が言ったアドバイスは、”秘策は今は使えない。負けたら俺が責任を取る、貴女の責任はベストを尽くし、ボールと戦う事だ。”集中力を途切らさない事しか戦術になかった。

“負けたかったら負けてもいいよ”とケシかけたら、彼女は一瞬で私の腹を見透かし、ベンチにタオルをたたきつけ、負けじ魂大爆発、超集中ゾーンで戦場に向かった。

時は過ぎ、強烈かつ悲壮な戦いは、ニッポンリードで9−8に、私は勝負の時が来たと思い、”この作戦は1回しか使えない。相手はずっとサーブダッシュ戦法だから、レシーブをセンター ボディへ持って行き、絶対パス出来るボールは、ロブを使え”ワイドにサイドにリターンをやめさせ、センターセオリーを使った。なんと見事に当り、15−40のマッチポイント。大観衆の声で、ベンチサイドで”そのままで行けの声が選手に届かない”

次の2ポイントは、”エッとビックリ”作戦を忘れて、サイドワイドに勝負に出てミス!!これ程の選手でも、マッチポイントの現実に魔性のポイントに負けるのか、今迄の超集中ゾーンから現実にひきもどされるのか、その瞬間マッチはイーブンに、もう運を天にまかせるより無し。

でもさすが沢松であったのは、マッチポイントを落としたのにもかかわらず、気落ちする事なく、長時間の時は過ぎ、17−15でトージアに運が行ってしまった。

その前の杉山vsピアース戦、杉山もセカンド5−3リードのマッチポイントを落とし、追いつかれて1セットオール、これも気落ちする事なくファイナルセットでたたきつぶした。

両選手共、共通している所は、”限りなくボールと戦い、常に自分と戦う事を基本としている”そして、自分の技以上の戦術は使わない。

一発で大量得点につながらないテニス。サッカーの1点とは比較出来ないボールゲーム。蝶のように舞い蜂のように刺す、コートの華達のビックプレーは、地道な練習の成果(華)と言える。フェド緒戦敗戦から学ぶ。

文中、時々人名が出てきます。生々しい事を書きますが、お許しを願います。次回も、体験、経験から学んだ事が出てきます。

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